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人は神様を超えられますか。

ただの始まりのお話 その1

 ただの始まりのお話 1

「ペンは剣よりも強し」誰かが言った。確かにそうなんだろう。だけど俺はこう思う。ピスト
ルの銃口を向けられながら棍棒を握りしめている様なものだ。どちらがピストルでどちらが気
の棒かなんてものは議論するまでもない。悪いがそれだけで勝つ方法がわからない。思いつく
奴がいたら教えてほしいくらいだ。なにが言いたいかっていうと、生きるためには「力」がい
るって話。なぜなら、世界和支配するのは力だから。権力、膂力、知力、あとは重力、挙げれ
ばきりがないが一般人が思いつくのでこんなもんだろう。でもこの世界には「神通力」と呼ば
れる力がある。彼らが生きるのはそんな世界。

 小さな田舎の村にレイという少年がいた。田舎町のそのまた田舎、ゼムの村。そんな小さな
世界の中心に、八歳のレイがいた。レイは頭が良かった。様々のことに興味を持ち、調べるこ
とが好きな好奇心旺盛な子だった。そしてレイが十歳になった。レイの住むファム王国では十
歳になると二年間の中等教育を受ける決まりになっているため、レイは最寄りの都市に進学す
る。

 昼間の陽気とはうってかわって、まだ朝夕は冷える季節。六時の鐘とともに一日が始まる。
中等教育とは言っても、初等教育をうけた貴族や金持ちの子息以外は、一般教養と神通力の基
礎から学ぶ初年次と神通力の向上を図るための二年次とに分かれる。初等教育を受けるような
者たちは高等部へと進学するのが当たり前だが、ごく稀に一般市民の出身で進む者もいる。彼
らは中等部での神通力の成績の良いものたちだ。ただ良いのではないことは、容易に予想がつ
くだろう。

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